ソファの張り替えはお得?そんな疑問にお答えします。
皆さんこんにちは。MANUALgraphのPR大使・佐野です。
最近よくこんな質問をいただきます。
今持っているソファを張り替えるか、それとも新しいソファを買おうか迷っています。実際のところ、張り替えと新品、どちらの方がお得なんですか?
結論から言うと、新品の方がお得です。
そうなの?!とビックリされた方、わかります。
僕も、今持っているソファをそのまま使うんだし、単純に材料費がかからない分、張り替えた方が安いでしょ!と思っていました。
MANUALgraphに勤める前までは…
ご要望やソファの状態にもよりますが、ソファの張り替えには皆さんが思うよりもコストがかかります。
今回は、安く済むだろうと誤解されやすいソファの張り替えの様子を、実際の作業風景を交えながらご紹介します。
張り替えは「手間の積層」である。
・生地をはがす作業はとても大変
張り替えの最初の工程は、ソファに張られている生地をはがす作業からスタート。
生地はタッカーと呼ばれる大きなホチキスのような工具を使い、本体の木部に固定されています。
市販されているタッカーと異なり、工業用のタッカーは強い空気圧で芯(ホチキスでいうところの針)を打ち込んでいます。
ちなみに市販のタッカーと工業用のタッカーでは、芯自体も異なります。
写真左が市販、右が工業用ですが、その違いは一目瞭然。工業用の芯は太い上に非常に強い空気圧で打ち込まれているので、そう簡単には抜けません。
生地をはがす工程というのは、この強力に刺さっている芯を一本一本、きれいに取り除いていくという地道な作業なんです。
はがしが甘いと新しい生地を張る際に邪魔になってしまうので、芯残りがないか念入りにチェックします。
この芯ですが、着色されているものなんかもあって、見えにくかったりもします。
そのため、目視だけでなく指でなぞるなど感触も頼りにしながら取り除いていくわけです。
この作業がまぁ大変で、素人同然の僕がやると2~3時間で目が疲れ、手にはマメができてしまうほど。
これだけ手間のかかる作業をソファ丸々1台分やるんですから、職人さんたちには頭が上がりません。
・一から「型」をおこす。
自社で販売しているソファは、生地を裁断するための「型」が予めパーツごとに用意されています。
ソファをお買い上げいただいたら、その型を使って無駄なく、そして効率よく生地を裁断することができます。
もちろん自社のオリジナルソファですから、その構造も頭に入っています。
一方で、他社製ソファの張り替え依頼があった場合はどうでしょうか。
まず、ソファ自体の構造が分からないですし、尚且つ長年愛用されていてヘタリなどがあると、元々のデザインがどういったものだったのかも簡単には分かりません。
商品名が分かる場合はネットで検索して情報を得ることができますが、ヴィンテージのソファであればそれも難しく、調べても情報がないことも多いので、手探りで進めていかなければなりません。
元のデザインを再現するのに確実なのは、裁断するための型をつくること。
オーナーさんから了承を頂いたうえで縫製を解き、面ごとパーツをわけ、そのパーツから型を作り、型に沿って新しく張る生地を裁断していきます。
依頼ごとに一から型を起こすので、新品に比べると倍以上の時間と手間がかかってしまうわけです。
・見積もりを出すのも一苦労。
「概算で構わないので見積もりを出してほしい」と言われることがよくあります。
概算とは言ってもソファの仕様や状態はそれぞれ違うので、すぐにお答えすることはなかなかできません。
欲を言えばソファを工場に持ってきていただきたいのですが…何せソファなのでそう簡単にはいきせんよね。
見積もりをお出しするのに最も早くて効率が良いのは、スタッフがご自宅にお伺いし、現物を見て採寸する方法なのですが、いざ見積もりがでると「今回は遠慮しておきます。」となることも多々あります。
実際はこうしたリスクを減らすために、お客様ご自身で寸法を測ってもらいメールでやり取りすることが多いのですが、写真を撮ってもらったり、測ってもらいたいところ書き出してお伝えしたり等々、リスク軽減の代わりにそれなりの時間が必要になります。
また、メールに不慣れな方から、どうしても自宅に来て欲しいと言われることも多々あります。
いかがでしたでしょうか。
各工程でこうした手間が積み重なっていくので、結果としてコストが高くなるんですよね。
張り替えは新しいソファが1台買えるくらい、もしくはそれ以上にコストがかかります。
「ご両親から受け継いだ」とか、「夫婦の思い出のソファ」など、そのソファによほどの思い入れがあれば別ですが、単に「張り替えの方が安そう」と思っているのであれば、僕たちは迷うことなく新品のソファをお勧めします。
手間を省くと安くなる?
とはいえ、とにかく張り替えたいんだ!という方もいらっしゃるはず。
そんな方に少しだけお得になる方法をお教えします。
1.中身を変える
例えば座面のクッションにフェザーが使われているソファの場合、中身交換の際フェザーを使わずウレタンのみにすることで価格を抑えることができます。
ただ、中身の素材を変えることで座り心地が変わってしまったり、見た目のデザインが変わってしまいます。
完璧な復元を求められる方には向きませんが、ソファ購入当時と比べて座り心地の好みが変わったり、ライフスタイルが変化したという方。
特に「最近ソファからの立ち上がりが辛くなってきたな」「長時間座っていると腰が痛くなってしまう」という方には、硬めの座面の方が、腰と脚への負担も少なくなるのでオススメです。
2.仕様を変える
実際に張り替えのご依頼をいただいたソファを例に、どの部分の仕様を変えられるのかをご紹介していきます。
こちらはMANUALgraphのオリジナルソファ、CORNER UNIT ALTERNA(コナーユニット・オルタナ)。本体にクッションが乗っているダブルクッションと呼ばれるタイプのソファです。
座面と背もたれのクッションがヘタっているのが写真でもよくわかりますよね。
今回は、元々2分割だった座面のクッションを、分割なしの仕様に変更しました。
2分割だったものを分割なしにすることで、製作に必要な生地の量と手間が若干ではありますが減るので、その分少しだけコストも下げられます。
気持ち程度ですので、ご参考程度に…。
3.直接持ち込んでもらう
張り替えをするには、作業前の回収と完成後のお届けで配送費用が2倍かかります。
特にソファは大きなものが多いので、その都度スタッフ2名と大型車を手配しなくてはいけません。
もし、ご自身で工場にお持ち込み・お受け取り頂くことが可能でしたら、単純にその分の配送費用が浮きます。
ご自宅での積み下ろしはお客様ご自身で頑張っていただかなければですが、工場での積み下ろしはスタッフがお手伝いいたします!
大変ではありますが、車にソファが乗せられるようでしたら検討してみてください。
他にも、カバーリングタイプのソファでしたら、中身はそのままで替えのカバーだけ製作する、ということも可能です。
その場合本体は不要ですので、今お使いのカバーを直接お持ち込みください。
最後に。
今回は「張り替え」に焦点を当てましたが、結局のところ新品は、張り替えるよりも手間がかからない分、お得ではあります。
とはいえ、すぐに「大切に受け継いできたソファを捨てて、新しいソファを買おう。」とはならないですよね。
新品を購入するのと張り替えをするのとでは、そもそもの価値のステージが大きく異なります。
どちらがお得?という疑問に対する答えは、結局のところ人それぞれなのではないかと思います。
なので、皆さんの「人生観」に合わせてお選び頂くと良いかもしれません。
もし悩んだら、いつでもMANUALgraphにご相談くださいね。