続・お店づくり日記
2013年、FACTORY&STORE MANUALgraphを立ち上げる際、5回に渡りに書いたブログ「お店づくり日記」。
あれから早6年。
今回また新たに「続・お店づくり日記」を書くこととなりました。
なぜなら新しいお店を出店することとなったからです。
この6年間、僕にも会社にも様々な変化がありました。
しかし、大きな変化かと問われるとそういう訳でもなく、相変わらずこの静岡県裾野市の小さな工場とお店でソファを造り続けています。
例えば、ソファが飛ぶように売れて新工場が建ったり、僕がベンツを乗り回したり…なんてことは今のところ起きていません。
それでもお陰様で少しずつ売り上げも伸び、若いスタッフも職人も増え、僕も少しだけ大人に(おじさんに?)なりました。
2013年にブランドを立ち上げた時は、もう少し違う未来を想像していたような気もします。
ですが、やはり少しずつこつこつと積み上げていくことが、僕にも会社にも合っているんだと思ったりしています。
そんな僕たちの元に大きな変化を運んできたのは、ある日かかってきた一本の電話でした。
「沼津市に新しくできるららぽーとに出店しませんか?」
もちろん、沼津市にららぽーとができるのは知っていましたし、家具屋さんも入るんだろうなぁとは思っていました。
でも本当にその程度。
スタッフに、「ららぽーとから出店依頼があっても断ろうな(笑)」なんて冗談を言っていたくらい。
ですが、いざ依頼が来るとちょっと欲が出てしまうというか、挑戦してみたいという気持ちが膨らみました。
先方の話を聞いてみると、
「家具・インテリアの出店がない」
「地域に根差した施設を目指していて、地元企業を何社か探している」
とのこと。
提示された出店条件も、まぁ楽ではないけど何とかなるかなといった感じです。
ブランドとして、ショッピングモールに出店することが果たして“イケてる”のかどうか、とても迷いました。
自分の中で整理する為にも、最終的に僕が出店を決意した理由を、このブログに綴っておきたいと思います。
出店を決めた一つ目の理由は、会社の理念です。
うちの会社の経営理念には「経済の原点はものづくりにある」と唱えています。
今や世界中のファストファッションや家具の世界でも、いわゆる「SPA(製造小売業)」と言うのが一般的になっていますが、それらは小売業が製造のチャネルを持つことによって成り立っています(たぶん)。
僕はブランドを立ち上げた当初から、「製造業が挑戦する真のSPA」などとちょっとカッコつけて言ってきましたが、ららぽーとへの出店は、この理想を実現する絶好の機会であり次のステップだと感じました。
二つ目の理由は、「子育て世代」です。
MAMNUALgraphでソファをお買い上げいただくほとんどのお客様が、家を購入するタイミングの方、いわゆる「住宅取得層」で、30~40代の子育て世代です。
僕やうちのスタッフの多くも同世代だったりします。
自分たちもさることながら、子育て世代は忙しく、また金銭的にも余裕がないことも多い。
そんな人たちに、良いものを少しでも手の届きやすい価格でお届けしたい、暮らしの様々な「FUN(わくわく)」をお届けしたいというのが僕たちブランドの想いです。
6年間ブランドを続けてきましたが、一人でも多くの子育て世代の方にお届けするのには、ららぽーとはうってつけの施設でした。
そして三つ目の理由は、著書「破天荒フェニックス」の影響です。
メガネ小売チェーン「OWNDAYS」の再生物語を小説にした本で、ちょうど出店のお誘いをいただいた時に読んでいました。
その本の中で描かれていた、資金繰りの苦しい中でも挑戦の出店を繰り返して成長を続けた姿にすっかり影響を受けてしまい、「何とかなるだろう」と思ったのです。
他にも理由はいくつかあるのですが、大きな理由はこの三つ。
三つ目に至っては、本を読んだタイミングがあまりにも良すぎました。
きっとこの本を読んだ多くの人が、「挑戦しよう」という気持ちになったのでは。
というわけで、6年振りのお店づくりがスタートしたのが今年の3月頃。
このブログを書いている現時点では、もうすぐ工事が始まるというタイミングです。
6年前同様に、自分がブランドを始める、お店を始める原点を忘れないためにも、次回以降「続・お店づくり日記」を書いていきたいと思います。
令和元年6月20日
FACTORY&STORE MANUALgraph 代表
鈴木大悟