STORY OF THE “FUN!” – NAKED LEATHER SOFA
ついに出会った1枚の牛革”NAKED"
MANUALgraphを立ち上げるにあたって、本革のソファは絶対にラインナップに入れたいと思っていた。
他のブランドやインテリアショップを覗いてみると、ヌメ革のハードな分厚い革を使ったソファが当時よく売られていた。
無骨で荒々しく、確かにかっこいい。
でもMANUALgraphで同じものを作っても意味がないので、
僕たちらしい、オリジナリティのある「FUN!」な本革のソファを作ろう!と言うことで、まずは理想の革探しから始まった。
あちこちからサンプルを取り寄せてみるものの、どれもどこかで見たことのあるような革ばかり。
やっぱり足を使わないとそう簡単には出会わない。
タイミングを見計らって、都内で開催されるインテリアの展示会へ。
そこで出会ったのが名古屋の革問屋、川善商店さん。
探し求めている革のイメージ(イメージと言ってもこの時点ですごくぼんやりしていたが…。)
を伝えると、名古屋の本社にはたくさんのサンプルがあるとのこと。
と言うわけで、後日改めて名古屋まで行くことに。
伺ってみると、ワクワクしてしまうほどの大量の革が。
そして1枚の革が目についた。
「なんだか荒いんだけど、すごく優しい…。」
第一印象で即採用を決めた革、「NAKED」はその名の通り、裸の革。
通常、特にソファやイスなどインテリアで使用される革は、牛が生きていた時についたキズやシミを隠す為
表面に大量の顔料を吹き付ける。
僕たちが普段目にするいわゆる「牛革」の表面はその顔料のテクスチャー。
でもこの「NAKED」は、顔料を吹かず、染色しかしていないため、キズやシミがそのまま残った
革本来の表情が残っている。
そして何より、そんな荒々しい顔をしながら、余計な加工をしていないのでとてもやわらかい。
このNAKEDを、FACTORYに持って帰りさっそく試作を開始。
この「なんだか荒いんだけど、すごく優しい…。」をそのまま表現しようと、デザインし
座り心地を設定していく。
何度か試作を繰り返して出来上がったこの「NAKED LEATHER SOFA」。
座面にもフェザーを採用し、ゆったりと沈み込みながら、背面のフェザークッションに
徐々に包み込まれていくその座り心地は、
一見荒くれ者のアイツにやさしく抱きかかえられる、そんな女子の気持ちになりそうな(笑)、
そんな気分。
肘に鋲打ちをほどこしたハードなデザインと、やさしく包み込まれる至極の座り心地は
この「NAKED」という革の特徴を最大限に活かせたと思っています。
しかし、その反面この「NAKED」と言う革は、余計な加工をしていない分とてもデリケート。
シミや水分のあとなどが付きやすく、色も変色しやすい。
経年変化と言うと、作り手の都合であまり使いたくないキーワードではあるんだけど、
経年変化と言うよりは、生活の中で使い込んだ「味」が家族の歴史を刻む、そんな感覚で
長年使っていただいたらありがたいなぁと思います。
MANUALgraph 代表 鈴木大悟